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2006 10,29 19:20 |
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この秋、「手紙」という映画が公開される。(詳細はこちら。→URL。) これは東野圭吾の同名小説(毎日新聞社刊「手紙」)を元に創られたもので、その存在は先日から何度も流れる映画のCMによって知らされていた。 映画の元となった「手紙」を、今日1日がかりで読んだ。 Amazon.co.jpに記載されている「商品の説明」(中島正敏氏によるもの。)を拝借するなら、内容はこうだ。 『 武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。 一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。 日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。 1999年に刊行された『白夜行』以降、著者は『片想い』 『トキオ』など、連載小説という発表形態を通じて、読み手を飽きさせないだけのストーリーテリングの実力を確実に身につけてきた。 新聞連載された本書も、バンドデビューや窃盗事件などの出来事を積み重ね、そのつど揺れ動いていく直貴の心の危うさを巧みに演出しながら、物語を引っ張っていく。 しかしながら読み手は、たえず居心地の悪さを感じずにはいられないだろう。なぜなら、直貴に向けられる差別は、私たち自身の中にも確実に存在するものだからである。 「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない」と言い切る直貴の言葉が、ずっしりと心に響く。(中島正敏) 』 ***** Amazon.co.jpのカスタマーレビューにもある通り、多くの人が絶賛しているこの作品、 例にもれず、すばらしい名作で、重く、深く、人の心の奥底にある無意識の差別について抉り出していた。 「犯罪者の弟」という一生背負い続けなければならないレッテル。 それをはがすためかどうかは分からないが、主人公は努力に努力を重ね通信制の大学に入り、音楽に目覚め、やがて一般の学生と同じように大学の 通学過程に転籍までする。 けれど、彼が新しい場所に一歩踏み出そうとするたびにそれを邪魔する過去。 そのつもりなく出された服役中の兄からの月に一度の手紙が、彼の行く先に暗い影を落とす。 やがて彼は、自分をこんな情況に追い込んだ兄を憎むようになる。 。。。わたしは昔のblogに「罪の重さ」という記事を書いたことがある。 それは、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」を犯した犯人のうちのひとりが刑期を終え、結婚し、子供を持ったことを報じていたテレビを見ての感想だった。 その時のわたしの感想は、他人の幸せを奪っておきながら自分は結婚し、子供を持ち幸せに暮らしている、そんな犯人の価値観を否定し、他人殺めた人間に幸せになる権利はあるのかと問う内容だった。 けれど、今回この「手紙」を読み、犯罪者の家族という違う視点から「罪の重さ」を捉える機会を得た。 本人が犯した罪ではないのに、兄弟(姉妹)という因果で背負わなければならない差別、 どこへ行っても付きまとう過去。 それにより閉ざされる未来。。。 人の出来る償いは、どこまでのことを言うのだろう。 忘れず手紙を送ることが償いになるのか。 例えば、極論を言うなら、償うために生きていくことは果たして償いなのか。 被害者の家族は、もしかしたら犯人に「死」をもって償ってほしいと思っているかもしれないとしたらどうだろう。 とても一度では結論が出そうにないので、この続きはまた次回。 PR |
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コメント |
数年前に、乃南アサの「波紋」を読み、事件渦中の犯罪被害者の家族の心のありようを見ました。その後、続編の「晩鐘」では犯人の家族(特に子供たち)の悲しい話も、ともに理不尽でやるせない。
フィクションなのに読んでいる最中も、読み終えたあとも、胸の奥がずっと何かに押されているような、息苦しさを感じました。 その後、実際の事件を新聞などで目にするたび、いろんな事を考えるようになりました。 【2006/10/3010:33】||まきち#9a88fa5a2c[ 編集する? ]
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まきちさん。 ここ1ヶ月くらい、頻繁にコメント頂けてすごく嬉しいです。 ありがとうございます。 以前はこちらからご連絡する方法は全然なくって、どこにいらっしゃるか分からないあなたに対して記事の中で伝言ゲームのように何かを伝えたりしていましたが。(笑) ***** >数年前に、乃南アサの「波紋」を読み、 >事件渦中の犯罪被害者の家族の心のありようを見ました。~~ 乃南アサさんも社会性の強い重い作品を書かれますよね。 。。。お好きなのですか? >フィクションなのに読んでいる最中も、読み終えたあとも、 >胸の奥がずっと何かに押されているような、息苦しさを感じました。 ああ、わたしもそうです。 この、東野圭吾氏の小説は、読み終えた後もずっとわたしの心に重くのしかかり、「何か」を訴えてくるんです。 その「何か」が何なのか、言葉に出来ればもっと楽になるのでしょうが、今回の「手紙(東野圭吾氏)」に関しては、胸に渦巻くモヤモヤを全く言葉に出来ませんでした。 それでも、わたしの稚拙な文章に対して、まきちさんがこうしてコメントを下さったことを、すごく嬉しく思います。 本当にありがとうございました。 j |
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